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生きる姿勢表す舞台

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生きる姿勢表す舞台-2008年6月3日 静岡新聞夕刊 4面 転載-

磐田市を拠点にモダンダンスの創作、指導を続ける 舞踊家 佐藤典子さん(76)が舞踊生活60周年を迎える。2003年わかふじ国体開会式、翌年の浜名湖花博、'07年県立美術館ロダン館での舞台と70歳を過ぎて活動の幅は拡がるばかり。集大成となる「クロスオーバーコンサート2008未来への讃歌」(8日、同市民文化会館)を前に、舞踊一筋を振り返ってもらった。



 戦後すぐ、日本の現代舞踊の創成期を築いた石井小浪門下に入り、内弟子としてみっちり学んだ。「食糧難で銀座に闇市が並んだ時代。母はよく許してくれたと思います。汽車で6時間もかけて食料を運んでくれた」
 舞踊団ダンサーとして活躍する傍ら、1950年から見付の自宅で教室を始めた。結婚を機に、本格的に指導の道へ。
 「単なるお師匠さんではなく、創作しながら教えようと。田舎では現代舞踊は育ちにくいと言われたが、磐田の文化的土壌に支えていただいた。」
 1期生7人の教室が、バレエブームを背景に急速に広がった。30余年前には欧米を巡る機会に恵まれ、ニューヨーク・カーネギーホールのスタジオで日系の先生が言った「日本人であることを忘れるな」に衝撃を受けた。文楽、歌舞伎、能といった伝統芸能を再確認していく。

生きる姿勢表す舞台 夫を肺炎で、長女をがんで相次いで失った50代。悲嘆の底で肝が据わった。「人の一生は、地球や宇宙の年月から見たらまばたきほど。踊りを生きていく。私の場合は手法は変わりますが、テーマは不動。こうやって生きていくという姿勢を、体で、人間のエネルギーで提示する場です」

 86年に佐藤典子舞踊団を結成し、作品を踊れる15~20人を養成する。アジア各国との交流も深め、3年目からクロスオーバーと名付けて中国、台湾、韓国の子どもたちとの共演や他ジャンルの芸術との協働を実現している。「肉体で何が語れるか追求してきた年月を感じてもらえる公演にしたい。」ピンと伸びた背筋、アイディアの若さは「夢を見続けているから」と笑った。




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「生命めぐる」  6月8日 磐田市民文化会館  15:00開演

 「未来への讃歌」は午後3時開演。3部構成で、日本の現代舞踊の流れを創成期から現代、未来へと追う。第3部の「生命めぐる」では、佐藤典子舞踊団に所属する高校生や舞踊団から選抜された団員など合わせて35人が出演。実際に水を流して滝を出現させるなど、大がかりな演出も実現する。「序章」に小学生71人が出演。同実行委員会など主催、静岡新聞社・静岡放送など共催。
 チケットなど問合せは佐藤典子舞踊研究所見付本部スタジオ<電0538(34)1607>へ。


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